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高野聖その23
(異《おつ》なことをいふやうだが何《なに》かね世《よ》の中《なか》の女《をんな》が出来《でき》ねえと相場《さうば》が極《きま》つて、すつぺら坊主《ばうず》になつても矢張《やツぱ》り生命《いのち》は欲《ほ》しいのかね、不思議《ふしぎ》ぢやあねえか、争《あらそ》はれねもんだ、姉《ねえ》さん見《み》ねえ、彼《あれ》で未《ま》だ未練《みれん》のある内《うち》が可《い》いぢやあねえか、)といつて顔《かほ》を見合《みあ》はせて二人《ふたり》で呵々《から/\》と笑《わら》つたい。
年紀《とし》は若《わか》し、お前様《まへさん》、私《わし》は真赤《まツか》になつた、手《て》に汲《く》んだ川《かは》の水《みづ》を飲《の》みかねて猶予《ためら》つて居《ゐ》るとね。
作品:高野聖
作者:泉鏡太郎
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底本:「新編 泉 鏡花集 第八巻」岩波書店
2004(平成16)年1月7日第1刷発行
底本の親本:「高野聖」左久良書房
1908(明治41)年2月20日
初出:「新小説 第五年第三巻」春陽堂
1900(明治33)年2月1日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
入力:砂場清隆
校正:門田裕志
2007年2月12日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)参謀本部《さんぼうほんぶ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)柳《やな》ヶ|瀬《せ》では
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「さんずい+散」、36-13]《しぶき》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ばら/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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