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高野聖その95
(さあ、其《それ》では御案内《ごあんない》申《まを》しませう、どれ、丁度《ちやうど》私《わたし》も米《こめ》を磨《と》ぎに参《まゐ》ります。)と件《くだん》の桶《をけ》を小脇《こわき》に抱《かゝ》へて、椽側《えんがは》から、藁草履《わらぞうり》を穿《は》いて出《で》たが、屈《かゞ》んで板椽《いたえん》の下《した》を覗《のぞ》いて、引出《ひきだ》したのは一|足《そく》の古下駄《ふるげた》で、かちりと合《あ》はして埃《ほこり》を払《はた》いて揃《そろ》へて呉《く》れた。
(お穿《は》きなさいまし、草鞋《わらじ》は此処《こゝ》にお置《お》きなすつて、)
作品:高野聖
作者:泉鏡太郎
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底本:「新編 泉 鏡花集 第八巻」岩波書店
2004(平成16)年1月7日第1刷発行
底本の親本:「高野聖」左久良書房
1908(明治41)年2月20日
初出:「新小説 第五年第三巻」春陽堂
1900(明治33)年2月1日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
入力:砂場清隆
校正:門田裕志
2007年2月12日作成
青空文庫作成ファイル:
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)参謀本部《さんぼうほんぶ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)柳《やな》ヶ|瀬《せ》では
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「さんずい+散」、36-13]《しぶき》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ばら/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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