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高野聖その155
キツヽヽといふて奇声《きせい》を放《はな》つた、件《くだん》の小坊主《こばうず》は其《その》まゝ後飛《うしろと》びに又《また》宙《ちゆう》を飛《と》んで、今《いま》まで法衣《ころも》をかけて置《お》いた枝《えだ》の尖《さき》へ長《なが》い手《て》で釣《つる》し下《さが》つたと思《おも》ふと、くるりと釣瓶覆《つるべがへし》に上《うへ》へ乗《の》つて、其《それ》なりさら/\と木登《きのぼり》をしたのは、何《なん》と猿《さる》ぢやあるまいか。
枝《えだ》から枝《えだ》を伝《つた》ふと見《み》えて、見上《みあ》げるやうに高《たか》い木《き》の、軈《やが》て梢《こずえ》まで、かさ/\がさり。
作品:高野聖
作者:泉鏡太郎
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底本:「新編 泉 鏡花集 第八巻」岩波書店
2004(平成16)年1月7日第1刷発行
底本の親本:「高野聖」左久良書房
1908(明治41)年2月20日
初出:「新小説 第五年第三巻」春陽堂
1900(明治33)年2月1日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
入力:砂場清隆
校正:門田裕志
2007年2月12日作成
青空文庫作成ファイル:
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《》:ルビ
(例)参謀本部《さんぼうほんぶ》
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(例)柳《やな》ヶ|瀬《せ》では
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(例)※[#「さんずい+散」、36-13]《しぶき》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ばら/\と
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