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高野聖その181
右左《みぎひだり》にして綱《つな》を引張《ひつぱ》つたが、脚《あし》から根《ね》をつけた如《ごと》くにぬつくと立《た》つて居《ゐ》てびくともせぬ。
親仁《おやぢ》大《おほい》に苛立《いらだ》つて、叩《たゝ》いたり、打《ぶ》つたり、馬《うま》の胴体《どうたい》について二三|度《ど》ぐる/\と廻《ま》はつたが少《すこ》しも歩《ある》かぬ。肩《かた》でぶツつかるやうにして横腹《よこばら》に体《たい》をあてた時《とき》、漸《やうや》う前足《まへあし》を上《あ》げたばかり又《また》四|脚《あし》を突張《つツぱ》り抜《ぬ》く。
作品:高野聖
作者:泉鏡太郎
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底本:「新編 泉 鏡花集 第八巻」岩波書店
2004(平成16)年1月7日第1刷発行
底本の親本:「高野聖」左久良書房
1908(明治41)年2月20日
初出:「新小説 第五年第三巻」春陽堂
1900(明治33)年2月1日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
入力:砂場清隆
校正:門田裕志
2007年2月12日作成
青空文庫作成ファイル:
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《》:ルビ
(例)参謀本部《さんぼうほんぶ》
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(例)柳《やな》ヶ|瀬《せ》では
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(例)※[#「さんずい+散」、36-13]《しぶき》
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(例)ばら/\と
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