TOP
高野聖その17
慾張抜《よくばりぬ》いて大急《おほいそ》ぎで歩《ある》いたから咽《のど》が渇《かは》いて為様《しやう》があるまい早速《さつそく》茶《ちや》を飲《のま》うと思《おも》ふたが、まだ湯《ゆ》が沸《わ》いて居《を》らぬといふ。
何《ど》うして其《その》時分《じぶん》ぢやからといふて、滅多《めツた》に人通《ひとどほり》のない山道《やまみち》、朝顔《あさがほ》の咲《さ》いてる内《うち》に煙《けぶり》が立《た》つ道理《だうり》もなし。
作品:高野聖
作者:泉鏡太郎
次へ
底本:「新編 泉 鏡花集 第八巻」岩波書店
2004(平成16)年1月7日第1刷発行
底本の親本:「高野聖」左久良書房
1908(明治41)年2月20日
初出:「新小説 第五年第三巻」春陽堂
1900(明治33)年2月1日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
入力:砂場清隆
校正:門田裕志
2007年2月12日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
-------------------------------------------------------
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)参謀本部《さんぼうほんぶ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)柳《やな》ヶ|瀬《せ》では
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「さんずい+散」、36-13]《しぶき》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ばら/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
-------------------------------------------------------