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高野聖その90
(否《いえ》、別《べつ》のことぢやござんせぬが、私《わたし》は癖《くせ》として都《みやこ》の話《はなし》を聞《き》くのが病《やまひ》でございます、口《くち》に蓋《ふた》をしておいでなさいましても無理《むり》やりに聞《き》かうといたしますが、あなた忘《わす》れても其時《そのとき》聞《き》かして下《くだ》さいますな、可《よ》うござんすかい、私《わたし》は無理《むり》にお尋《たづ》ね申《まを》します、あなたは何《ど》うしてもお話《はな》しなさいませぬ、其《それ》を是非《ぜひ》にと申《まを》しましても断《た》つて有仰《おツしや》らないやうに屹《きツ》と念《ねん》を入《い》れて置《お》きますよ。)
と仔細《しさい》ありげなことをいつた。
作品:高野聖
作者:泉鏡太郎
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底本:「新編 泉 鏡花集 第八巻」岩波書店
2004(平成16)年1月7日第1刷発行
底本の親本:「高野聖」左久良書房
1908(明治41)年2月20日
初出:「新小説 第五年第三巻」春陽堂
1900(明治33)年2月1日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
入力:砂場清隆
校正:門田裕志
2007年2月12日作成
青空文庫作成ファイル:
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)参謀本部《さんぼうほんぶ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)柳《やな》ヶ|瀬《せ》では
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「さんずい+散」、36-13]《しぶき》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ばら/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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