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高野聖その283
高野聖《かうやひじり》は此《こ》のことについて、敢《あへ》て別《べつ》に註《ちう》して教《をしへ》を与《あた》へはしなかつたが、翌朝《よくてう》袂《たもと》を分《わか》つて、雪中《せつちう》山越《やまごし》にかゝるのを、名残《なごり》惜《を》しく見送《みおく》ると、ちら/\と雪《ゆき》の降《ふ》るなかを次第《しだい》に高《たか》く坂道《さかみち》を上《のぼ》る聖《ひじり》の姿《すがた》、恰《あたか》も雲《くも》に駕《が》して行《ゆ》くやうに見《み》えたのである。
作品:高野聖
作者:泉鏡太郎
底本:「新編 泉 鏡花集 第八巻」岩波書店
2004(平成16)年1月7日第1刷発行
底本の親本:「高野聖」左久良書房
1908(明治41)年2月20日
初出:「新小説 第五年第三巻」春陽堂
1900(明治33)年2月1日
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。
入力:砂場清隆
校正:門田裕志
2007年2月12日作成
青空文庫作成ファイル:
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《》:ルビ
(例)参謀本部《さんぼうほんぶ》
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(例)柳《やな》ヶ|瀬《せ》では
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(例)ばら/\と
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