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湖南の扇その31
作品:湖南の扇
作者:芥川龍之介
この部屋に僕等を迎えたのは小肥《こぶと》りに肥った鴇婦《ポオプウ》だった。譚は彼女を見るが早いか、雄弁に何か話し出した。彼女も愛嬌《あいきょう》そのもののように滑かに彼と応対していた。が、彼等の話している言葉は一言も僕にはわからなかった。(これは勿論僕自身の支那語に通じていない為である。しかし元来|長沙《ちょうさ》の言葉は北京《ペキン》官話に通じている耳にも決して容易にはわからないらしい。)
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底本:「昭和文学全集 第1巻」小学館
1987(昭和62)年5月1日初版第1刷発行
親本:岩波書店刊「芥川龍之介全集」
1977(昭和52)年〜1978(昭和53)年
入力:j.utiyama
校正:柳沢成雄
1998年10月20日公開
2007年2月11日修正
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《》:ルビ
(例)広東《かんとん》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)当時|長江《ちょうこう》に
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「さんずい+元」、第3水準1-86-54]江丸《げんこうまる》
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